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尿もれケアナビ for Women
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治療について
受診の目安
病院や診療所を受診する・しないは、本人が「日常生活を送る上で、これではまずい」と感じるかどうか、というのがひとつの目安です。軽い腹圧性尿失禁の場合は、尿もれパッドを当てたり、骨盤底トレーニングを行なっていれば生活上あまり問題はなく、受診も必要ないことが多いようですが、本人が生活に支障があると思っている場合は、受診してみるといいでしょう。腹圧性以外の尿失禁でも、不具合や不快感を感じるかが受診の目安といえます。
どの科に行くべきかは悩むものですが、まずは泌尿器科か産婦人科のどちらかを受診しましょう。「腹圧性尿失禁」は泌尿器科もしくは尿失禁に取り組んでいる産婦人科、「性器脱」に伴う尿もれの場合は産婦人科にかかるのが、現在のところ一般的です。
腹圧性以外の尿もれの場合や持病のある方などは、かかりつけの医師にまず相談するか、総合病院、または尿失禁外来のある病院を受診するといいでしょう。「病院・クリニックリスト」もご参照ください。
関連リンク 尿もれパッド/専用品カタログ
「骨盤底トレーニング」について
「病院・クリニックリスト」を見る
検査の方法
問診
最初に、尿もれの始まった時期、状況、量、出産の状況などについて、問診があります。これらは医師が的確な診断をする上で重要な情報ですので、恥ずかしがらず、ありのまま率直に答えましょう。また、医師にかかる前に、「尿もれの種類」「排尿パターン」「排尿時の症状」などを自己チェックしておくことも大切です。さらに、「排尿日誌」をつけておき、受診の際に持参すると、診断の参考になります。
関連リンク 尿もれの種類
「排尿日誌」/セルフケア日誌・つけ方編
内診
骨盤底が弱っていることが尿もれの原因かどうかを確かめるため、婦人科の内診と同じように診察台に横になり、膣への触診などが行なわれます。内診に際しては、骨盤底や腹筋が正しく働いているか、子宮や膣の状態はどうか、などをチェックします。できるだけリラックスして受けましょう。
パッドテスト
物理的に尿もれしやすい行動をし、もれたおしっこの量や状態を診断の参考にするテストです。
「1時間パッドテスト」は次の手順で行ないます。尿もれ用のパッドを用意し、その重さを量ってから、下着に付け、500ccの水を飲み、15分経ったら階段の上り下り1階分を含め30分歩きます。続けて、15分以内で、椅子に座る・立ち上がる動作(10回)、強く咳き込む(10回)、走り回る(1分間)、腰をかがめ床の物を拾う動作(5回)をし、手を流水で洗います(1分間)。その後、排尿量、パッドの重量を量り、もれの量によって失禁の程度を判定します。
日常生活でどれくらいの尿もれがあるのか、1日に使用したパッドを密閉容器に集めて重さをはかるやり方(24時間パッドテスト)もあります。
超音波検査
超音波検査(妊娠時に胎児の成長を調べるための検査と同様)では、膀胱頸部、尿道などの形態を観察することができます。膀胱の下垂や尿道の短縮、膀胱頸部の締まりの悪さ、排尿後の残尿などが見つかります。
ウロダイナミクステスト
排尿障害の原因となる、膀胱や尿道の機能異常を拾い出す検査で、残尿チェック、尿道内圧測定(尿道の締まり方を検査)、排尿曲線(膀胱や尿道の屈曲具合を検査)、圧排尿分析(排尿中の膀胱の収縮度や速度を検査)、シストメトリー(水注入に伴う膀胱尿道内圧測定)などを行ないます。ひと通り行なっても15分ほどの検査です。
生活指導
尿もれの原因となる生活上の問題点を取り除くため、必要な方には生活指導があります。この生活指導を守るだけでも、尿もれが治る方もいるほどですから、ぜひ参考に。その人の症状により異なりますが、以下のような指導が考えられます。
水分摂取が多すぎる方、夜尿のある方
1日の食事以外での水分摂取が2000ccを超える方は、少し減らした方がよいかもしれません。特に夕食以降の過剰な水分摂取は、夜間の尿量増加に直結するので問題です。
水分摂取が少なすぎる方、頻尿の方
水分摂取が少なすぎると膀胱にたまるおしっこの量が少なくなり、少ない量の排尿を繰り返す傾向になりやすいと同時に、尿が濃くなるため膀胱が刺激され、尿意が強くなるともいわれています。1日の排尿が800cc未満にはならないよう、また、ある程度尿意を感じるまでトイレへ行かないように指導されます。
肥満の解消
太っているといつも腹腔内や骨盤腔内の圧力は高く、骨盤底には大きな力がかかり続けます。また、1回1回の尿もれの量も多くなるので、体重オーバーを解消することには大きな意味があります。
便秘の解消
便が大腸にたまっていると膀胱機能が不安定になり、それが原因で尿もれが起こっていることもあります。便秘解消の食事指導としては、食物繊維の多い野菜類、海草類、豆類、キノコ類、乳酸菌(ヨーグルトなど)等をとるように指導されます。
排尿障害のある方
溢流性尿失禁、尿排出障害のある方の場合は、残尿を取り除くため、尿道に管を差し込み膀胱から直接尿を取る「導尿」が必要なことがあります。セルフケアとして1日2〜8回自分で導尿をする「自己間欠導尿」は、必ず医師や看護師の指導を受けて行ないましょう。
理学療法
手術でも薬でもない治療です。骨盤底の理学療法には、骨盤底トレーニング、骨盤底再教育(トレーニングに限らない骨盤底への意識管理)、磁気や電気による骨盤底の刺激治療などがあり、これらを組み合わせて行ないます。ただし、もれの強い腹圧性尿失禁や、すでに脱出を起こしている性器脱には、理学療法はあまり効果をあらわしません。
関連リンク 「骨盤底トレーニング」について
薬による治療
「切迫性尿失禁」の治療には、抗コリン薬やカルシウム拮抗薬が用いられます。膀胱の壁(平滑筋)は自律神経に支配されており、「抗コリン薬」や「カルシウム拮抗薬」は、神経や平滑筋に作用して膀胱平滑筋の緊張をほぐす働きがあります。また「抗コリン薬」には直接神経に働きかけて尿意を和らげる働きもあります。
これらの薬剤は尿意切迫感や頻尿を軽減します。薬剤により、抗コリン作用のみのものと抗コリン作用とカルシウム拮抗作用の両者を併せ持つものがあります。これらの薬の投与は、尿排出障害(慢性的な残尿や排尿困難など)を伴わない頻尿や切迫症状が対象になります。
抗コリン薬には、口が渇く(唾液減少)、便秘に傾く(腸の動きが緩慢に)、コンタクトレンズの異物感(涙の減少)などの副作用があります。また、緑内障や心疾患のある人の一部に利用制限があります。
「腹圧性尿失禁」の治療薬は、尿道括約筋(横紋筋)の締まる力を強化することによって尿もれを軽減するのですが、現実の「腹圧性尿失禁」で、尿もれの原因は尿道括約筋の力不足とは言えない実情があります。「腹圧性尿失禁」の治療には、薬の服用よりも理学療法や尿失禁手術のほうが実績が上がっています。
関連リンク 尿もれの種類
尿意切迫感・頻尿、切迫性尿失禁の治療薬
(抗コリン薬、カルシウム拮抗薬など)
膀胱の緊張を緩め、不規則な収縮を減らし、尿意を和らげる。過活動膀胱、切迫性尿失禁、尿意切迫感、頻尿などの治療に用いられる。服用中は人によって排尿しづらくなることがある。
 ・イミダフェナシン(ステーブラ、ウリトス)
 ・ソリフェナシン(ベシケア)、トルテロジン(デトルシトール) 
 ・プロピベリン(バップフォー
 ・オキシブチニン(ポラキス
 ・塩酸フラボキサート(ブラダロン
発売年月日の新しい順に配列。( )内は商品名、 は後発医薬品があることを示す。以下同様。
遺尿症(小児の夜尿症,昼間遺尿など)に使われる抗うつ薬は、抗コリン作用に加えて、膀胱から尿道へ尿の流れ込む部分を引き締める作用がある。
 ・イミプラミン(トフラニール
腹圧性尿失禁の治療薬
交感神経刺激剤の持つ横紋筋収縮力強化作用に着目し、尿道括約筋(平滑筋成分と横紋筋成分からなる)の締まる力を強めて尿もれを軽減する方向の薬。服用中は筋緊張が高まり、手や指先の震えが起こる人がある。
 ・塩酸クレンブテロール(スピロペント
排出障害の治療薬
交感神経の作用を選択的にブロックすると、逆に尿道抵抗は弱まる。この作用によって排尿困難や慢性的な残尿を改善する薬。服用中は、人によって血圧低下や尿もれがみられる。
(注:膀胱から尿をうまく排出できないときは、「なぜうまく出せないか」を診断することが最優先。この評価を棚上げにしてとりあえず排出障害の治療薬を使うことは危険です)
 ・ウラジピル(エブランチル)
HRT(女性ホルモン補充療法)
女性ホルモンのエストロゲンは膣や尿道に働きかけ、新陳代謝を促し、血行を盛んにします。エストロゲンが足りなくなると尿道粘膜が薄くなり、膣や尿道の雑菌が増えます。
閉経による女性ホルモンの減少で、尿道が萎縮し尿もれや残尿、頻尿、排尿困難などの症状が出ている場合は、少量のエストロゲンを補って尿路の新陳代謝をよくします。薬は症状や用途により使い分けられ、種類は内服薬、膣錠、パッチ剤などがあります。尿道萎縮治療には、通常のHRT(女性ホルモン補充療法)よりずっと少ない量のエストロゲンで十分です。
尿道周囲注入法
腹圧性尿失禁の治療で、尿道の周囲にコラーゲンなどの素材を注入し、尿道粘膜の密着性を高めて腹圧性尿失禁を治療する方法です。局所麻酔で日帰りか一泊で行います。注射程度の負担で済み、合併症も非常に少ないことが利点です。欠点としては,現在保険適応のあるコラーゲンでは、効果の確実性が必ずしも高くないこと、改善した場合も持続性に欠けるので、特に若い年代では勧められないことがあげられます。TVT手術が普及するにつれて、通常の腹圧性尿失禁に対して行うことは減りましたが、尿道周囲注入法がよい選択肢になるケースがいくつかあります。(1)子宮ガンの手術、放射線治療後などで、尿失禁がある一方で膀胱の収縮力が弱く、TVT手術を行うと尿閉(尿が自分で出せなくなる)の危険がある場合、(2)TVT手術後にわずかに腹圧性尿失禁が残存した場合、(3)ADL(日常生活動作)の低下した高齢者で手術を避けたい場合などです。今後よりよい素材が導入されれば、使用範囲が広がる可能性があります。
   
尿失禁手術(TVT・TOT手術など)
中部尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)
尿道スリング手術は、尿道の下を帯状の素材で補強するものです。以前は、筋膜スリング手術といって、おなかの筋肉の膜を取り出し、それで尿道の下を補強する手術が一部で行なわれました。手術成績はよいものの負担が大きく、排尿困難の合併症が懸念されるため、どちらかというと難治例に限って行なわれる傾向がありました。
手術負担が軽く、かつ安定した長期成績を得ることをめざして開発されたのが、「TVT手術」(TVT=Tension-free Vaginal Tape)をはじめとする中部尿道スリング手術です。TVT手術は日本では1999年から行われるようになり、現在では、日本で行なわれる腹圧性尿失禁の手術の大半が、TVT手術かその変化型になっています。メッシュ状のテープ(材質はポリプロピレン)を中部尿道の下側に通す手術で、テープの周囲にはコラーゲンなど結合組織が増加し、腹圧がかかる時に尿道にくびれを作るように働いて、尿もれをくい止めます。局所麻酔と鎮静だけで行なえ、傷もごく小さく手術後の痛みも少ない優れた手術です。切開するのは恥骨の左右と膣内に1cm程度の傷が3カ所、入院は3日前後の施設が多いようです。
「TOT手術」(TOT=Transobuturator Tape)は、TVT手術がおなかのキズから恥骨の裏を通って、尿道の下にテープを置くのと違って、足のつけ根の傷から、閉鎖孔という骨盤の骨にあいた穴を通って、尿道の下にテープを置く形になります。TVT手術で起きうる合併症に膀胱損傷や腸管損傷(後者はまれ)がありますが、TOT手術はこれらの合併症を基本的には避けることができます。とくに、開腹手術を受けたことのある人でメリットがあると思われます。
バーチ手術
少し前まで、米国や英国などで尿失禁の治療に用いられていた術式に、「バーチ(Burch)手術」があります。これは、恥骨の裏側から膀胱や尿道を含む腟の前側の組織を広範囲に剥離し、膀胱頸部の両側の腟壁を持ち上げるようにして恥骨の頭側の靭帯へ縫合固定する手術で、この手術を行なうには腹壁を切開して恥骨の裏側に入らねばなりません。
子宮筋腫などで開腹・子宮摘除を行なう場合には、バーチ手術は「ついでに」行なえる手軽な手術ということになります。それがあり、産婦人科では尿もれ傾向のある女性に広くバーチ手術が施行されてきたのです。しかし一方、バーチ手術には、術後に腟の後方区画が下がりやすくなる(小腸瘤、直腸瘤などになる)という欠点があります。また、過去にバーチ手術を受けていると、TVT手術を行なうときに膀胱を傷つける危険があるということが指摘され、次第にバーチ手術の施行数は減少に転じました。
その後、しばらく内視鏡でバーチ手術を行なう外科医が増えましたが、最終的には、中部尿道スリング手術が尿失禁手術の本流として残り、バーチ手術の用途は、開腹・子宮摘除と同時に性器脱の治療を行なう場合に限られるようになりました。
針式膀胱頸部挙上術(ステイミー手術など)
「ステイミー(Stamey)手術」は、腹圧性尿失禁の手術として、1980年代後半から1990年代に日本でもよく行なわれました。針式膀胱頸部挙上術のひとつで、膀胱頸部の両横をナイロン糸で吊り上げ、尿道過可動(ぐらぐら尿道)をおさえることで、尿もれをよくする手術です。主な手術処置は膣の中から行ない、おなかの傷が比較的小さいことから、それ以前の術式、バーチ手術や筋膜スリング手術に比べ、体への負担が軽い手術でした。 短期成績は悪くなかったのですが、時間が経つと、ナイロン糸が組織に食い込んで尿道のサポートがゆるみ、再発しやすいことがわかってきました。このため、TVT手術などの中部尿道スリング手術が普及した今では、行なわれることが少なくなっています。
関連リンク 腹圧性尿失禁
性器脱と排尿の不具合
骨盤底形成術(骨盤底修復術)
腹圧性尿失禁で、骨盤底がしっかりしていない方の場合は、TVT手術などの尿道周りの手術は適しません。膀胱の下垂、性器脱なども、骨盤底が安定していないため生じるので、おおもとの原因である骨盤底の支持を修復することが必要です。
骨盤形成術とは、骨盤底全体の安定を取り戻す目的で骨盤底の繊維組織や筋肉などの損傷部分や引き伸ばされて弱くなった部分を補強・修復をする手術です。
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