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ケアナビ・トピックス

夜中に何度もトイレに起きると、そのあとなかなか眠れなかったり、それが元で昼間ぼーっとしたり。また、暗い中をトイレに急いで転倒するなど、生活の質(QOL=Quality of Life)の低下にもつながります。
夜間頻尿研究の第一人者である福井大学医学部附属病院・泌尿器科の横山 修先生にお話を聞きました。

◎夜間頻尿とは、どういう症状でしょうか?

「夜、眠りについてからトイレに行く回数が1回以上で、そのことが生活の質(QOL)を落としていると感じている」状態のことをいいます。QOL評価から、臨床的には2回以上を問題としています。日本排尿機能学会の推定によると、日本では4,500万人が夜間頻尿で、「生活の質(QOL)にまで影響している」と感じている人は、60歳代だと男性の約80%、女性の約40%にものぼります。
夜間頻尿の原因は、膀胱容量の減少、および夜間尿量の増加ですが、尿の量が多い多尿、夜間多尿、睡眠障害、膀胱畜尿障害、加齢現象など、さまざまな要因が関与して起こっています。

◎夜間頻尿になりやすいタイプはあるのでしょうか?

肥満指数であるBMIが30を超える高度肥満の人に夜間頻尿が多く、こうした人はメタボリック症候群として、高血圧・高血糖・高脂血症などのリスクが高いことで知られています。これらメタボの因子が増えると、比例して夜中のトイレの回数が増えることも明らかになっています。また、肥満の場合は、夜におしっこの量が多くなる「夜間多尿」から、たびたびトイレに立つ「夜間頻尿」になっていくケースが多いのも特徴です。
日本独自の特徴としては、BMI18.5以下の「やせ」の人にも夜間頻尿が多く、しかも呼吸器疾患や不眠症を合併していることが多い。呼吸器疾患では尿量が増える特徴があり、不眠症では夜間頻尿を併発。眠れないから何度もトイレに行ってしまうのです。

◎夜間頻尿の起こるメカニズムを教えてください。

私たちが眠りにつくと、脳の下垂体から抗利尿ホルモンが昼間の2倍も多く分泌されて、尿量が抑えられます。また、夜間には副交感神経の働きが抑えられ、膀胱容量が増加します。こうしたメカニズムで就寝時には尿量が減り膀胱も大きくなって、朝までトイレに行かなくてすむのです。
しかし、加齢とともに、抗利尿ホルモン分泌の日内リズムが狂って、夜間の分泌量が減少し、夜間の尿量の増加を抑えられなくなります。さらに、加齢による大脳の萎縮は睡眠を浅くします。睡眠が妨げられるとともに、夜中に目覚めた後に膀胱内圧が高まって、実質的に排尿の必要がない状態でもトイレに行きたくなります。また、脳の加齢は神経伝達物質であるドーパミン系の障害も引き起こします。これが排尿反射中枢に影響をもたらして、排尿反射を亢進させることが夜間頻尿の原因になっていたり、膀胱容量の低下を招く原因になっている可能性もあります。
また、糖尿病や尿崩症による多尿が原因のケースもあります。なお、膀胱の畜尿機能に障害があると、多尿でないのに頻尿になる場合もあります。
夜間頻尿は、こうしたさまざまな要素が複雑にからみ合って起こるものです。ただ、単純に眠る前に水分を多く摂っているのが原因の場合もあります。

◎診断の基準や治療法を教えてください。

まず、症状が夜間頻尿だけか、昼間も頻尿か、また切迫性尿失禁やおしっこが出にくいなどの夜間頻尿以外のおしっこの問題(下部尿路症状)がないかを調べます。
昼も夜も頻尿で、その他の下部尿路症状がなければ、尿崩症などを疑い、内科に引き継いで治療を行ないます。
夜間頻尿だけなら、排尿日誌をつけて夜の尿量を調べます。昼間の尿量に比べて多くなっていれば(高齢者の場合では、夜間の尿量が1日の尿量の1/3以上の場合を夜間多尿と定義)、高血圧・糖尿病などの検査をします。該当すれば、その治療を行ないます。
昼も夜も頻尿で、その他の下部尿路症状がある場合は、膀胱蓄尿障害に対する治療が必要になります。おもな膀胱畜尿障害として、50歳以上の男性なら前立腺肥大症の影響、過活動膀胱は女性でも男性でも考えられます。前者は前立腺症状の検診が、後者は抗コリン薬での治療が考えられます。
また、水分を多く摂りすぎるのが原因ならば、「夕方以降、お茶や水を飲むのを控える」といった生活指導を行ないます。寝る前に水分補給をしたほうがいい、という健康法がいわれていますが、心筋梗塞などのリスクが高い場合を除いて、高齢者でも就寝前に多く水を飲む必要はありません。余分に摂取した水分は尿になるだけです。

◎女性で特徴的な症状はありますか?

女性は、閉経後に睡眠障害がぐっと増えます。女性ホルモン・エストロゲンの分泌が急激に低下するからです。また、このホルモンの低下は蓄尿の問題や過活動膀胱にもつながります。ここに、やせや肥満、持病が加わると、夜間頻尿のリスクがさらに高まります。
とはいえ、夜間頻尿を訴えて受診される女性は、まずほとんどいらっしゃいません。尿もれや昼間の頻尿など、ほかの症状で受診されて、問診していくと「夜もおしっこが近い」ことが明らかに。女性の場合は、ほかの困りごとに意識がいくため、夜間頻尿は見過ごされがちです。

◎日常生活で気をつけることがあれば教えてください。

水分を多く摂りすぎる傾向の人は、少し控えてみましょう。利尿作用があるカフェインを含むコーヒーやお茶、眠りが浅くなるアルコールなども控えてください。アルコールは入眠を促進する効果はありますが、深いよい眠りを妨げます。
下半身に水が溜まるむくみも、夜間頻尿につながります。夕方に散歩したり、屈伸やスクワットなどで下肢の筋肉を使い、むくみを防ぎましょう。
睡眠障害では、午後2時以前に15分程度の午睡をするのもおすすめです。このとき、眠りすぎないのがポイントです。また、年齢を重ねて早寝するようになると、結局早く目覚めてしまう元なので、少し夜更かししてはどうでしょう。睡眠は時間ではなく、質が大切です。
ぜひ、やってほしいのが排尿日誌をつけること。1日の尿量と排尿回数、1回の排尿量などから、頻尿や多尿の状況、自分の排尿パターンがつかめます。受診時に持参すれば、それを参考に、すぐに治療に入ることもできます。

◎「尿もれケアナビ」読者にメッセージをお願いします。

私たちの調査で「夜間2回以上トイレに行く人は病気のリスクが高い」ことがわかりました(右のグラフ参照)。そういう人は、内科的な疾患が隠れているかもしれないので、ぜひ意識してください。また、「夜、たびたび目が覚めて困る」など、生活の質(QOL)が低下している場合には受診をおすすめします。
浅い眠りの人に睡眠薬を投与すると、眠りが深くなり、すると膀胱が大きくなって、さらに尿量が減るという研究結果もあります。治療でQOLが向上する可能性は高いのですから、あまり我慢をせずに、医師に相談してみましょう。どうしたら夜間頻尿に伴うQOLの低下を食い止められるのか。不足しているものを補う薬物療法の神髄が、そこにあります。私たち泌尿器科医は下部尿路症状の専門的な研究を進めていかなければなりませんし、より生理的物質に近い新薬の開発も望まれます。
夜間頻尿の治療で、QOLを高めるということはアンチエイジングにも大切なことです。「昼間は活動的に過ごしておしっこを出し、夜は疲れてぐっすり眠り、おしっこに起きない」という生活が理想ですね。

「夜中にトイレに起きるのは年のせい」……そう思い込んでいた夜間頻尿に、実は病気が隠れているかも! しかも、肥満の人ばかりでなく、やせている人も気をつけたほうがいいと、今回の取材でわかりました。
薬や生活指導で症状が改善されるケースが多いとなれば、「しょうがない」と諦めるのは早そうです。さっそく排尿日誌をつけて、日頃の排尿のパターンや水分摂取を見直してみませんか? 快適な生活への一歩につながることでしょう。
横山 修先生
福井大学医学部
泌尿器科学講座・教授
1982年、金沢大学医学部卒業。排尿中枢に関する研究に長年携わり、近年はメタボリック症候群と下部尿路障害、睡眠障害と夜間頻尿などのテーマで研究成果を発表。『夜間頻尿診療ガイドライン』作りも手がける。日本泌尿器科学会総務委員会委員、日本排尿機能学会副理事長、日本老年泌尿器科学会評議員などを務める。
夜間トイレに起きる人の割合は、年齢とともに上昇します。40歳代では、約40%の人が「夜間1度はトイレ」に行っていて、「3回以上行く人」は60歳では10-20%に及びます。QOLへの影響が心配されます。
 
女性の夜間頻尿は「やせ」と「肥満」に多いことが、横山先生の研究で明らかに。夜2回以上おしっこに行く可能性を算出すると、やせと肥満のグループでその可能性が高かった。「それは病気のリスクにもつながります」と横山先生。
*BMI=ボディマス指数。身長と体重から肥満指数を算出するもの。
*2005年度福井県健康診査を受けた女性18,952人のデータを元に、メタボリック症候群と夜間頻尿の関係を調査。ここでの夜間頻尿とは、夜間2回以上の排尿が毎日ある場合。
 

■夜間頻尿
  日常生活で気をつけること

多飲しない(とくに夕方以降)
下半身のむくみを防ぐ(歩く、屈伸、スクワットなど)
昼寝(午後2時以前に15分程度)
夕方以降、カフェイン摂取を控える
アルコールを控える
排尿日誌をつけて排尿のパターンをつかむ
 
福井大学医学部附属病院
福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3
TEL.0776-61-3111
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